果てなく広がる宇宙の片隅に「聖獣の宇宙」と呼ばれるところがある。
幾多の苦難を乗り越え、聖天使エトワールの助けもあり、先頃やっと宇宙のサクリアを司る守護聖が誕生したばかりである。
精霊たちにより阻害されていたサクリアも無事宇宙すべてに行き渡り、聖獣の宇宙は「創世」の時代から「守成」の時代へと、
移り変わろうとしていた。
聖地の宮殿ではエトワールの任命式を兼ねた式典も終わり、守護聖や聖地で勤務する者たちを招待したささやかな晩餐会が行われている。
この宇宙を統べる女王-アンジェリーク・コレットは、一段高い場所に設けられた席に座り、宴の様子を眺めていた。
皆、為すべき事を成し遂げたという充実感溢れる表情をしている。
そして聞こえてくるのは、これからの宇宙を女王である自分とともに導いていこうという、頼もしくも嬉しい言葉ばかりだった。
(良かった・・・・・本当に良かった・・・・)
心の底からアンジェリークはそう思う。
今思い出しても、サクリアが散逸して宇宙の生命がどんどん弱くなっていく様子は、身が凍り付くような恐怖であった。
いくら自分が力を使いサクリアを送っても、それがまったく効果を為さないのである。
自分の無力さを思い知らされた瞬間であった。
(それもこれも、レイチェルやあの娘や守護聖たちのおかげね)
アンジェリークは、自分の席より少し離れたところで談笑している守護聖たちと、三つ編みの少女を見つめて微笑んだ。
エトワールとして選ばれた少女エンジュが、自分に成り代わり各地にサクリアを届けてくれたのだ。
そして守護聖たちを説得し、この聖地へと連れて来てくれた。
これによりアンジェリークの負担はずいぶんと軽くなり、エンジュによって運ばれたサクリアを宇宙隅々にまで送ることができたのだ。
「へーいーかっ!!楽しんでいらっしゃいます?」
ふいにレイチェルが、席を動かずにいるアンジェリークを心配して側に寄ってきた。
「レイチェル、今回の事ではあなたに何から何まで任せっきりになってしまって・・・・・ごめんなさいね。
でも・・・・あなたが私の代わりにエンジュを導いてくれたから、こうしてこんな風に今を迎える事ができたの。
何てお礼を言っていいかわからないけど・・・・・・・本当にありがとう・・・・・・・レイチェル・・・・」
特別な言葉を使うでもなく、今の自分は思うせいいっぱいの感謝の気持ちをこめてレイチェルに感謝を伝えた。
それを聞いていたレイチェルはしばらく黙っていたが、少し瞳を潤ませてアンジェリークの手に自分の手を重ねた。
「もう・・・・ヤダなぁ。陛下ったら・・・・ワタシを泣かせないでよぉ。アナタの大変な時に、ワタシが頑張るのは当たり前でしょ?
だからそんなにあらためてお礼なんか言われちゃうと・・・・・」
「ふふ、そうだったわね。でも、本当に感謝しているの。どうかこれからもよろしくね、補佐官どの」
「もちろん!ワタシにお任せあれ」
二人は顔を見合わせてにっこりと笑った。
「あ〜二人で内緒の話かいな?なんかええ事でもあったんかな〜?」
ふと顔を向けると、エンジュを伴って炎の守護聖チャーリーと夢の守護聖メルが二人の傍らに来ている。
レイチェルはさりげなくアンジェから手をはなし、わざとらしく咳払いをした。
「おっほん。ワタシと陛下は内密なお話の最中だったの」
「あ〜あやしいなぁ〜ズルイでぇ。陛下をお話したいんは補佐官のアンタだけと違うんやからな」
「ねぇ陛下。二人で何のお話をしてたの?」
メルは屈託なくアンジェリークに問いかける。
旧知の仲であるこの若い夢の守護聖をアンジェリークは弟のように思っているので、くすりと笑うと諭すようにメルに告げた。
「あのね、メル。二人でもう一度誓いあっていたの。これからもよろしくねって」
アンジェリークの言葉に、メルとチャーリーは顔を見合わす。
そして当然と言ったように頷きながら二人で声を合わせて「陛下、これからもよろしくお願いします」と、ペコリと頭を下げながら言ったのだった。
その様子に、そこにいた全員が声を上げて笑う。
「もう!チャーリー様もメル様もふざけちゃいけません!」
エトワールであるエンジュは笑った後でふと我にかえり、チャーリーとメルをたしなめる。
「いいのよ、エンジュ。今日はあなたの任命のお祝いの席だもの。楽しいことはいくらでも大歓迎なの。
そうそう、あなたにもきちんとお礼を言ってなかったわね・・・・・・・・本当にありがとう・・・・・宇宙が救われたのはあなたのおかげよ」
「いいえ・・・・そんな・・・・私はただ・・・タンタンやレイチェル様の指示に従って動いていただげで・・・・」
エンジュの謙遜にアンジェリークは首を横に振る。
「いいえ・・・あなたはその指示以上のことをやってくれたの。女王として心から感謝します・・・・・・・・・・・エトワール。
これからもどうかこの宇宙の発展と安定のために、力を貸してね・・・」
アンジェリークの言葉に、エンジュは感動したように顔を輝かせてアンジェリークを見つめている。
(エトワール・・・・・・そう・・・・私はエトワールなんだ・・・・・)
エンジュは心の中で今初めて実感をした。
何という美しい響きだろう・・・・・・女王から賛辞の言葉を送られるエトワールという言葉は・・・・・
自分はこれからも、エトワールの名に恥じない働きをしなければいけない・・・・・それが選ばれたエトワールとしての私の使命。
「陛下・・・・私これからも頑張ります。エトワールとして、せいいっぱい頑張ります!だから何でもおっしゃってくださいね!」
しゃちほこばって答えるエンジュとアンジェリークの間に割り込むようにレイチェルが話の輪に加わる。
「エンジュ、今はパーティなんだから、難しい話はナシね!もちろんエトワールとして頑張ってもらうけど、今日はアナタも楽しむんだよ?
「でもあさってからはまたお仕事が始まります!私、陛下にきちんとエトワールとしての心構えを聞いていただきたくて・・・」
「ま〜ま〜仕事の話はまた今度でええやん♪それよりエンジュ!あっちにおいしそうなケーキがあるみたいや。よし!食べにいこ!」
身を乗り出したエンジュの腕をチャーリーがすかさず捕らえ、アンジェリークに軽くウィンクすると、メルともども向こうのテーブルへと去っていった。
その様子に苦笑しつつレイチェルは肩をすくめる。
エンジュが連れて行かれたテーブルでは、何やらエンジュが不満そうにチャーリーに申し上げをしている。
「真面目なのはいいんだけどね〜こんな時だからそういう話はしないでほしいよね」
「まぁまぁ、レイチェル。あの娘はあの娘なりに考えているのよ。だって女王の代わりに色々と動いてくれたのはあの娘なんですもの。
これからのことを心配するのも無理はないわ」
「はいはい。アナタはそう言うと思ったんだ。もう、相変わらず優しいんだから・・・・・・っと、大変!大事なことを忘れるところだったわ」
レイチェルは思い出したように手を合わせ、アンジェリークを手招きする。
「ん?どうしたの?レイチェル」
近寄ってきたアンジェリークにそっと耳打ちをする。
ハッと顔を上げるアンジェリーク・・・・そして確認をとるようにレイチェルの顔を見つめる。
そんなアンジェリークを安心させるようにレイチェルは頷き、近くにいた女性職員に何かを伝えて女性職員を送り出した。
アンジェリークはレイチェルに礼を言い、なるべく目立たないように晩餐会のホールから出て行った。
その後で、何処かから呼び戻された聖獣の宇宙の首座の守護聖であるレオナードが女王の席に立った。
そして女王は未だ回復途上ということで先に休んだことを伝え、最後に「今夜はまだまだこれからだからな!とことんいくぜぇ!」と、
いささか首座の言葉らしからぬ乾杯の音頭をとって、さらにパーティを盛り上げたことは言うまでもない。
今夜は月は空にはない・・・・しかしその代わりに満天の星たちが小さな光で聖地を照らしている。
ほのかな灯りのともる自分の部屋へと飛び込んだアンジェリークは、開け放された窓と外の夜空を見て落ち着かないように辺りを見回す。
そこにいたはずの人物を捜すが、姿が見当たらない。
「そんな・・・・・・」
思わず声を出してバルコニーの方へと歩いて行こうとしたとき、ぐいと腕を引っ張られ、強い力で後ろから抱きすくめられる。
突然のことに身を固くしたアンジェリークだったが、ふわりと鼻孔をくすぐる香りに安心したように自らを抱く腕にそっと手を添える。
「アリオス・・・・・・・」
「急いで走って来たな?お前?まだ本調子じゃねぇのに、無理するな」
部屋へ入って来た時の様子でそうと察したアリオスは抱きしめる力をそっと緩める。
つい最近まで、この少女が自分の命をかけて宇宙のために身を投げ出していたことを知っているだけに、未だその身が案じられるのだ。
「もう大丈夫だから・・・・心配しないで。それに・・・アリオスが来てくれるなんて思わなかったから嬉しくて・・・・」
「来る気なんかなかったんだが、そうだとお前がブーブーうるせぇだろ?だから来てやったんだぜ」
「もう!アリオスったら!」
冗談とわかっているが、その裏に隠された彼の気持ちも知っている。
嬉しさと恥ずかしさでアンジェリークは顔を上げることができない。
アリオスはそんな様子を見て声をたてずに笑うと、アンジェリークの顎に手をかけてゆっくりと自分の方を向かせる。
アンジェリークの青緑色の瞳と、アリオスの金と翡翠の瞳が交錯する・・・・・それぞれの瞳にお互いの姿を映して・・・・・
やがてどちらともなく顔を近づけ、自然と唇が重なる。
空気が触れるような・・・・優しく穏やかなくちづけ・・・・・・・すぐに唇は離される。
しかし次の瞬間、お互いに待ち焦がれていたかのように激しく唇を重ね、貪るように舌をからめあう。
アリオスは唇を重ねたままアンジェリークを正面向かせ、自分が身を隠していた柱にアンジェリークの体を押しつける。
十分味わったのかアリオスは唇を離すが、銀色の糸がお互いが離れるのを惜しむかのように唇からつたう。
濡れた唇をそのままに縋るように自分を見つめるアンジェリークを見て、アリオスは彼女の耳元に唇を寄せる。
「ここで・・・・抱いていいか?」
アリオスの言葉に頬を赤く染めるアンジェリーク。だが、拒否の意味ではない。
未だにアリオスとの逢瀬では恥ずかしさが先に立ち、うまく言葉が出ない。
黙ってうなずくしかできないアンジェリークである。
そんなアンジェリークの変わらぬ奥ゆかしさを愛しいと思い、アリオスはアンジェリークの耳朶を軽く噛む。
甘い痛みがアンジェリークの耳から全身に伝わり、ため息のような声がアンジェリークの口から漏れる。
アリオスは耳朶から頬、そして首筋に唇を這わせ、アンジェリークの手をとると自分の口元へと持ってくる。
そして白く細いアンジェリークの指にそっとくちづけ、唇でより分けるようにして中指の先を口に含んだ。
「ふっ・・・・・・あっ・・・!アリ・・・・オス!」
温かい口腔の感触と指先に触れる舌の感触に思わずアンジェリークは声を上げる。
アリオスはアンジェリークの指を舌で丹念に舐め、指先を軽く噛む。
やがてアリオスの手はそろそろとアンジェリークの胸に降りてきて、両方の乳房を包み込むようにもみしだいた。
指と胸の愛撫にアンジェリークは身をよじるが、その快楽に身を任せたままにしたいという欲望に負けてしまう。
アリオスはアンジェリークの指を口に含んだまま胸の愛撫を続ける。
優しく包み込んだかと思うと、握りつぶすように乳房をつかんだりすると、悩ましげにアンジェリークが声を漏らす。
だんだんとアンジェリークの呼吸が速くなっていき、胸の先端が下着ごしでも固く尖ってきているのがわかる。
それをはさみこむようにして揉みしだくと、アンジェリークは許しを請うようにアリオスを見つめる。
「や・・・・ぁ・・・・・ア・・・リオス・・・・・そん・・・なに・・・・しない・・・で」
アンジェリークの言葉にニヤリと笑い、アンジェリークの指を愛撫から解放してやる。
だがアリオスはほうと息をついたアンジェリークの唇に再び接吻し、彼女の舌を味わいながら両方の手は彼女の衣裳を留める紐へと伸びる。
今夜のアンジェリークの衣裳は前で紐を結んで留めるもので、体に負担が少なく、ゆったりしたものだった。
するすると紐をほどいていくと衣が開かれ、ふわりと風で揺れてアンジェリークの体があらわになった。
薄紅色の衣をはだけられ、その下には同じ薄紅色の下着をつけたアンジェリークの体をアリオスは見つめる。
彼女には珍しくガーターベルトを身につけており、アンジェリークの少女の風貌とそれがアンバランスながらもひどく情欲をかきたてる。
「ずっと見られたら・・・・恥ずかしい」
アンジェリークは衣で前を隠そうとしたが、素早くアリオスが体をぴたりと密着させ、アンジェリークに口づける。
アンジェリークの下唇をそっと噛むと、ぴくりと体を震わす。
その反応が自分が与えている快感に耐えているのだと思うと、アリオスはたまらなくなる。
アンジェリークを壊すほど抱いてしまいたいという凶暴な欲望に身を任せそうになるが、押しとどめる。
そっと唇を離し、アンジェリークの衣を肩から滑らすように脱がしていく。
下着だけの姿になったアンジェリークを立たせたまま、アリオスはゆるゆると彼女の胸を愛撫し、片方の手を下のほうへと下ろしていく。
布地ごしにその部分に触れると、うっすらと濡れた感触がする。
アリオスは心の中で微笑み、いきなり下着の中に手を入れてアンジェリークの秘部を指でなで上げた。
「あっ!!!やっ!!」
突然のその愛撫にアンジェリークは声を上げる。
「アンジェ・・・・・キスだけでこんなになってるぜ・・・・・キスでこんなに感じたのかよ?」
アリオスは優しく秘裂をなで上げながらアンジェリークに意地悪く問う。
その答えを聞くまでもなくアンジェリークのそこは溢れかえっており、指でなでるごとに奥からとめどなく溢れてくる。
ふるふると首を横に振るアンジェリークだったが、アリオスの愛撫のたびに小さく声が漏れてしまう。
「ほら・・・・こんな音がしてるぜ・・・・・」
くちゅりという淫らな水音がアンジェリークの耳に聞こえてくる。
アンジェリークはうつむいて声を出さないように我慢したのだが、その水音は激しくなるばかりだ。
それがよりいっそうアンジェリークの快感を高め、アリオスの愛撫に感じてしまうのだ。
アリオスは床に膝をつき、アンジェリークの下着に手をかけ、ゆっくりと引きずり下ろす。
秘部は糸を引いて名残惜しそうに下着から離れる。
あらわになったそこは濡れてうっすらと光り、奥に隠れていたはずのアンジェリークの小さな赤い真珠も顔を出していた。
アリオスはアンジェリークの片足を持ち上げ、自分の肩に載せて秘部があらわになるような体勢になった。
「いやっ!アリオス!恥ずかしいわ!!」
「何言ってんだ?アンジェ?こんなになってるくせに・・・・・お前のここは正直だぜ」
そう言うとアリオスはゆっくりとアンジェリークの秘部に指を侵入させる。
十分濡れているのでまるで飲み込まれるかのようにアリオスの指はアンジェリークの中に入っていく。
「う・・・・んっ!!やぁっ!!!アリオスっ!!」
アンジェリークは指が入っていく感触に身をよじる。
立ったままなので足下がおぼつかなくなりそうだった。
呼吸が荒くなり、体の奥がどんどん熱くなっているのがわかる。
「アンジェ・・・・お前の中・・・・熱いな・・・・・それに・・・・指をすごく締め付けてるぜ・・・・」
「はぁんっ!!い・・・やっ!アリオスっ!だめっ」
「だめじゃねぇだろ?もっとよくしてやるよ」
アンジェリークの嘆願などそっちのけで、アリオスはアンジェリークの真珠に顔を近づけ舌先でそっと触れる。
ピクリとそれが震え、アンジェリークも「ひっ」と声をあげる。
それに意を得たアリオスは指でアンジェリークの中をかき回しながら、彼女の真珠に口づけ優しく舌で愛撫する。
するとアンジェリークの秘部はますますアリオスの指を締め付け、喜びの蜜をあふれさせる。
真珠とともにアンジェリークの蜜も味わいながら愛撫を続ける。
二つ同時に責められたアンジェリークはますます声をあげ、許しを請うようにアリオスの名を呼ぶ。
「やあっ!やだ・・・・っ!!だめっ!!!それ以上っ!!!!ああっっ」
唯一地についた片足がぶるぶると震え、快感の波に翻弄されてその場に崩れてしまいそうになるアンジェリーク。
体がどんどん浮揚していくような感じが強くなっていく。
どこかに連れ去られてしまうのではないかと、恐怖で思わずアリオスの頭を押さえつけてしまった。
その瞬間アンジェリークの真珠にふれていたアリオスの歯が、軽くそこを噛む。
「やぁぁぁぁぁっっ!!!!」
一気に体が浮揚したかと思うと、アンジェリークの体に電流のような快感が走った。
アリオスの指を締め付けていた力は一気に緩み、その代わりに溢れ出た蜜はアンジェリークの股をつたっている。
アリオスはアンジェリークが達したのを確認し、そっと指を抜くと立ち上がった。
アンジェリークは柱にぐったりともたれたままでうつむいている。
下着をつけたままではあるが、秘部はあらわになり、喜びの蜜を股にはりつかせたまま・・・・・
この上もなく淫らな姿なのに、アンジェリークからは清々しさは失われていない。
いかに自分が淫らに彼女を翻弄しようとも、彼女の清冽さ・美しさは少しも変わらない・・・・・
だが、それ故にもっと淫らな姿を見てみたいという、暗い欲望があるのも事実だ。
自分だけが見ることのできる天使の淫らな姿。そして自分だけがこの天使に悦びを与えることができるのだ。
「アンジェ・・・・イッちまったのか?」
確認するまでもないが、アリオスはそっとアンジェの頬に触れて顔を上げさせる。
汗ばみ、小さく息をするアンジェリークは力なく頷いた。
「アンジェ・・・・見ろよ・・・・」
アリオスは先ほどまでアンジェリークの胎内に飲み込まれていた、蜜の絡まった指を彼女の前に突き出す。
達したばかりで瞳の焦点が合わないアンジェリークだったが、徐々にそれが何を意味するものかが判明し・・・・
「やだっ!!!!やめてっ!!アリオスのバカっ!」
アンジェリークは真っ赤になってアリオスの指を払いのけ、くるりと後ろ向いてしまった。
(やだ・・・・・私・・・・あんなになるまで・・・・・)
いつもの事なのだが、アンジェリークはいつまでも慣れない。
アリオスに感じさせられ、それに抗うことができす、いつもアリオスに翻弄されてしまうのだ。
決してそれが嫌ではないのだが、恥ずかしさだけはどうにもならなかった。
「何だよ、今さら恥ずかしがることじゃねぇだろ?いつもの事だぜ?」
クスクス笑いながらアリオスはそっとアンジェリークの背中に自分の体を寄せる。
「それだけオレに応えてくれてるってことだろ?」
そう言うと、アリオスはアンジェリークの腰に己の高ぶりを擦りつけた。
自分もアンジェリークと同じだということを教えてやりたかった。
「アリオス・・・・・」
「オレもお前の中に入りたい・・・・・・」
甘いささやきにアンジェリークは再び翻弄されてしまう。
自分がアリオスを求めるように、アリオスも自分を求めてくれている。
そう・・・・この時だけ・・・・アリオスの前だけなら・・・・アンジェリークは「愛する人に抱かれたい」という自分の欲望に素直になれた。
「このまま・・・いいか・・・・?アンジェ?」
アリオスの問いに、小さく頷くアンジェリーク。
その応えにアリオスは自分の服を素早く脱ぎ、後ろを向いたままのアンジェリークの腰を自分の方に引き寄せる。
腰だけを突き出すような格好にアンジェリークは恥ずかしさで一杯になったが、これからアリオスが与えてくれる悦びがそれを上回る。
熱い高ぶりがアンジェリークの秘裂に触れ蜜をこすりつけるようにすると、ゆっくりと秘裂をかきわけ、アリオスがアンジェリークの胎内へと入ってくる。
「あぁ・・・・・・」
胎内の柔肉をかきわけられ、熱く滾るものに征服される快感にアンジェリークは震える。
その震えがアリオスに伝わり、アリオスも意識を失いそうな快感を感じていた。
「くっ・・・・・!!アンジェっ!いきなりそんなに締め付けるんじゃねぇよ」
己のすべてをアンジェリークの胎内におさめて、アリオスは息をつく。
すぐにも腰を打ち付けて快楽を貪りたかったが、それでは自分もすぐに果ててしまいそうだった。
「苦しくなったらすぐに言えよ」
アンジェリークの体を案じてアリオスはそう言うが、言っておきながら手加減できるほどの余裕があるだろうかとも思う。
アンジェリークはアリオスに翻弄されるように、アリオスもまたアンジェリークに翻弄されるのだ。
それをわかっているのか、アンジェリークは黙って頷く。
アリオスはゆっくりと腰を動かし始めた。アンジェリークの胎内をゆっくり味わうかのように。
「ああっ!ふぅっんっ!」
アンジェリークが声を上げ、それと同じくして彼女の胎内がアリオス自身を包み込み。
温かい胎内の蜜が生き物のようにからみつき、アリオスを責め立てるようである。
(オレも・・・・長くはもたねぇな・・・)
予想以上の快楽にアリオスは酔ってしまいそうになる。
だがアンジェリークも同じだった。
一度達したというのに、アリオス自身に胎内を蹂躙されて再び体がそれに応え始めたのである。
「やぁっ!ああんっ!!ア・・・・アリオスっ!わたし・・・・また!また・・・・なのっ!!」
その言葉にアリオスはアンジェリークを責める腰の動きを激しくする。
自分も同じだったからだ。
だがアンジェリークと一緒に高みへと達したい・・・という思いでなんとか体をコントロールする。
部屋に響くのはアンジェリークの悲鳴のような声と、腰が打ち付けられる湿った音、そして、この上もなく淫らな蜜の溢れる水音。
その三重奏の響きが、まるで麻薬のようにアリオスとアンジェリークを刺激し、狂わせる。
アリオスはいったんアンジェリークの胎内から高ぶりを引き出そうとしたが、自分のものに白くからみついたアンジェリークの蜜を見て理性が飛ぶ。
アンジェリークの腰を掴み、さらに激しく腰を打ち付ける。
その度にアンジェリークの体が弓のようにしなり、ますますアリオスを締め付けていく。
「アリオス!アリオス!!」
切ないまでにアリオスの名を呼び、アリオスが与える悦びに乱れ、あえぐアンジェリーク。
後ろから責め立てられる恥ずかしさよりも、アリオスが自分に与えてくれるものを愛したい・・・・すべてを感じたい。
アンジェリークも自分から求めるように腰を動かし、アリオスを導くように彼を深く飲み込んでゆく。
「クッ!!!アンジェ・・・ッッッ!!」
アリオスの全身に鳥肌がたつような衝撃が走り、その瞬間狂おしいまでの快楽に包まれアリオスはアンジェリークの中にそそぎ込む。
「ああッツ!!!!アリ・・・・オス!!!アリオスっ!!!!」
熱い生命の滾りがアンジェリークの胎内を焼き尽くすかのような快楽に、アンジェリークの意識は一気に高みへと連れ去られた。
やがて全てを注ぎ尽くしたアリオスは、体をつなげたままアンジェリークの腰を持ち上げ、そっと柱へと寄り添わせる。
ひくひくとまだ自分のものを捕らえているアンジェリークの胎内を味わいながら、肩で息をしている愛しい者へとささやく。
「アンジェ・・・・お前は・・・・・おれの・・・・・おれだけの・・・・・・女王だ・・・・」
重なりあったまま一時も離れまいとするアリオスの言葉にアンジェリークはほうと大きく息をつき、快楽の余韻に浸りながら意識は闇へと沈んでいった。
アンジェリークとアリオスが熱く密やかな夜を過ごしていた頃、先ほどのホールではまだパーティが続いていた。
各々が談笑するなか、エンジュはアップルジュースの入ったグラスを持ってバルコニーに出た。
ひんやりとした夜風が心地よい。
満天の星のもと聖地が星明かりに照らされている。
ほんの少し前までサクリアの拝受のために行き来していた神鳥の宇宙の聖地の景色とよく似ている。
「あちらの守護聖の皆様も・・・・お元気かしら?」
アウローラ号で自分の誕生日を祝ってくれて以来、皆には会っていない。
これからはこの聖獣の宇宙のエトワールとして女王の元で働くことを決めたエンジュである。
ただ、これまでの一年間がやはり懐かしく思えて、ふと過去に思いをめぐらせる。
エンジュは神鳥の宇宙の辺境惑星の出身である。
5人兄弟の一番上であり、幼い頃から面倒見が良くて学校でも責任ある仕事を任される秀才であった。
そのため代表で主星の見学者に選ばれて、エトワールの資質ありと判断されてここに来た。
初めて目にする女王や守護聖たちの姿に感動し、宇宙のために使命を果たした。
守護聖たちもエンジュに快く協力を申し出てくれて、エンジュはそこで初めて恋をしたのだ。
多くの守護聖の中でも、特に親身になって何かとエンジュの事を気遣ってくれた人。
日の曜日には二人でよくセレスティアに出かけて楽しい日々を過ごした。
くせのある茶色の髪と、優しくて男らしい光を秘めた瞳を持つ・・・・神鳥の風の守護聖ランディ・・・・
故郷の星で今まで見てきたどの男性よりもランディは輝いて見えた。。
しかしエンジュはある時、ランディ以上に自分を惹きつける存在に出会う。
それは・・・聖獣の宇宙の守護聖が集結し、一同皆がひざまついて女王に忠誠を誓う瞬間だった。
光が射す神聖な宮殿の玉座の間において、9人の守護聖が未だ少女の風貌をした女王に自分の全てを賭けて誓う姿。
その姿は壮観であった。エンジュは一言も言葉が発せられなかったのを覚えている。
そしてエンジュが一瞬で心奪われたのは、その守護聖たちの尊敬と親愛を一心に受ける女王のその姿であった。
神々しく、何よりも清々しく玉座の間に立つ女王アンジェリーク・・・・宇宙のすべての生命に等しく愛情を注ぐ存在。
エンジュは親しく自分に声をかけてくれるアンジェリークの姿しか知らなかったため、女王の威厳を身につけたその姿は衝撃的であった。
そしてその威厳を自分も身につけたい、女王のように自分も他人から尊敬されたい・・・・と思ったのだ。
そのためには・・・・・とエンジュは考えた。
自分は宇宙の危機を救うために使命を帯びて動いている。
ではそれを見事やりとげたなら・・・・人々は自分に対して尊敬の情を抱いてくれるかもしれない。
そのためには、自分が今以上に真剣に使命に取り組まなければいけない。
自分が一生懸命使命に取り組むことで宇宙の危機も救われ、そしてそれに対して人々は必ず喜んでくれるだろうから。
その思いは、ランディが自分に示してくれる愛情と量り比べても、遙かに重きを為すものだった。
以来エンジュの使命に対する認識が大きく変わることとなる。
エンジュはそれから・・・・恋を捨てた。
ただ一人の女性としてただ一人の男性より愛情を受けるよりも、女王と近しい存在「エトワール」としてより多くの尊敬を集めたいと思ったから。
そして、エトワールとなる自分には恋などは必要ない、恋などにうつつを抜かしている場合ではないと思ったからだ。
エンジュに愛を拒まれたランディが必死の思いで自分に告げた心の内。
一人の女性として、一生を共に過ごしたいと思った女性は自分が初めてだと言っていたランディ。
しかしその言葉はエンジュの心には届かなかった。
エンジュの心にあるのは「エトワール」
女王と近しい存在であるエトワールこそが自分の目指す道であると、確固たる自信があったらかだ。
ランディには申し訳なかったが、エンジュは自分の決めた答えに後悔はないと信じている。
だからこそここまで頑張ってきたのだ。
無事エトワールに任命され、これからは「聖天使」として女王のため、宇宙のために力を尽くす。
自分は決して間違ってなどいないと、エンジュはあらためて確信する。
「もうランディ様や神鳥の宇宙のことは、考えるのはやめなくちゃ。だって私はもう「エトワール」なんだから」
思い出にひたるのもエトワールとして失格だと、エンジュはそう思っている。
もう過去は振り返ってはいけない。
エトワールとして、前に進むのみなのだ。
ある意味悲愴ともいえるその決意が、エンジュにとって本当に良かったのか・・・・・
恋も知らず、楽しい事も思い出も全てをエトワールのために捨てようとしているエンジュの決意が、彼女に幸福をもたらすのか。
それは誰にも・・・・エンジュにすらもわからなかった。
<index> <next>